
うちの子、先生の話を全然聞けないし、じっと座っていることができなくて。他のお母さんに申し訳なくて…
「なんでうちの子だけ」「育て方がまずかったのかも」。そう自分を責めているお母さん・お父さんへ、まず伝えさせてください。落ち着きがない子どもの多くは、「困らせたい」のではなく、「困っている」のです。
「落ち着かない」の背景にあること
子どもが「ちゃんとできない」ように見えるとき、その背景にはさまざまな理由が考えられます。単純に「意志が弱い」「わがまま」ではないことが多いです。
考えられる主な背景
- 感覚過敏・感覚鈍麻(感覚処理の特性):音・光・触感などの刺激への反応が強い、または弱いため、環境に適応しにくい
- ADHD的な特性:注意の持続・衝動の制御・多動傾向は神経発達の特性であり、「しつけで直る」ものではない
- 不安:次に何が起きるかわからない状況に強い不安を感じ、落ち着けない
- 発達のペース:自己制御(自分の行動をコントロールする力)の発達は個人差が大きい
- 睡眠・栄養不足:体の状態が行動に直結する
注意欠如・多動症(ADHD)は人口の約5〜7%に見られ(WHO推計)、脳の神経発達に関わる特性です。「厳しくしつければ改善する」ものではなく、環境の工夫と適切な支援が重要です。
音楽が「落ち着き」をつくれる理由
「音楽に合わせてからだを動かす」リトミックの活動が、落ち着きのない子どもたちに驚くほど効果的な場合があります。その理由は感覚統合(sensory integration)の観点から説明できます。
感覚統合とは、脳が身体からの感覚情報を整理・統合するプロセスです。リトミックでは音・リズム・動き・空間認識など多様な感覚を同時に使うため、感覚統合を促進し、神経系を整える効果があると考えられています(Ayres, 1972など)。
リトミックが「落ち着き」をつくる具体的なメカニズム
- 規則的なリズムが自律神経を整える(心拍・呼吸のリズムに同期する)
- 体を動かすことで「余分なエネルギー」を適切に発散できる
- 「次に何をするか」がリズムでわかる(見通しが持ちやすい)
- 成功体験(「音楽に合わせられた!」)が自己効力感を育てる
「じっとしていなくていい」教室があります
おとうた音楽教室では、走り回るお子さんも、部屋の隅にいるお子さんも、全員「今日のレッスンに参加している」と考えています。
「うちの子、先生に迷惑かけちゃうかも」と心配される方も多いですが、当教室の講師は特別支援学校で12年間、そういうお子さんたちの専門家でした。「できないこと」よりも「その子のペース」を見続けてきた経験があります。
「落ち着いてから行く」ではなく、「落ち着くために来る」場所です。まずは体験にいらしてください。
【この記事を書いた人】
工藤 彩野(くどう あやの)/おとうた音楽教室 代表講師
秋田県立の特別支援学校で12年間・延べ300名以上の子どもたちに音楽を教えたのち、2025年に独立。発達支援の視点を取り入れたリトミックを専門とする。特別支援学校教諭免許・音楽療法アドバイザー・福祉心理カウンセラーを保有。
