
毎日「すごいね!」「上手だね!」と褒めてるのに、なんか自信なさそうで…。褒め方が悪いのかな
「たくさん褒めているのに、なぜか自信がない」「ちょっとうまくいかないと、すぐ諦めてしまう」。そんな様子を見て、不思議に思っているお母さん・お父さんへ。
実は、「褒める」と「自己肯定感を育てる」は、必ずしも同じではありません。心理学の研究では、褒め方によっては逆効果になることもあることが示されています。
「上手だね」より「頑張ったね」のほうが子どもは育つ
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック(Carol Dweck)氏による研究(1998年)は、褒め方と子どもの行動の関係を明らかにしました。
この研究では、子どもたちをふたつのグループに分け、同じ課題に取り組ませたあと、一方には「才能・結果を褒める(You’re smart!)」、もう一方には「努力・プロセスを褒める(You tried hard!)」という声かけをしました。
その後の行動を見ると、「才能を褒められた」グループは難しい課題を避け、失敗を恐れるようになりました。一方、「努力を褒められた」グループは難しい課題に積極的に挑戦するようになりました。
「結果」ではなく「プロセス」を見る
自己肯定感とは「うまくいっているから自分が好き」という条件付きの自己評価ではなく、「うまくいかなくても自分はここにいていい」という無条件の自己受容から生まれます。
結果だけを褒め続けると、子どもは「うまくできたときだけ愛されている」と感じ始めます。これは自己肯定感ではなく、「評価への依存」を育ててしまいます。
プロセスを伝える声かけの例
- 「今日は最後まで諦めなかったね」(忍耐力を認める)
- 「難しそうなところを自分で考えてたね」(思考力を認める)
- 「失敗しても、もう一回やってみたね」(回復力を認める)
- 「あなたがいると嬉しいよ」(存在を認める)
音楽は「プロセスを楽しむ」最高の場
リトミックのような音楽活動は、「正解・不正解」「上手・下手」の評価がなく、音楽を楽しむプロセスそのものが目的です。
「今日、初めて手拍子が合ったね!」「音楽に合わせてからだが動いてた!」──そんな小さな気づきを共有することが、子どもの「自分にもできる」という感覚を育てます。
おとうた音楽教室では、結果よりもプロセスを大切にするレッスンを心がけています。毎回のレッスン後にLINEでお送りする「振り返りシート」には、その日のお子さんの様子・頑張り・小さな成長を具体的にお伝えしています。
日常でできること
- 「どうだった?」よりも「楽しかった?」と聞く──結果より体験を聞く習慣を
- 「できたね!」より「やってみたね!」──挑戦したこと自体を認める
- 子どもの「好き」に興味を持つ──「お前の好きなもの、ちゃんと見ているよ」というメッセージになる
- 失敗を一緒に笑い飛ばす──失敗が「大変なこと」ではなく「よくあること」と伝える
【この記事を書いた人】
工藤 彩野(くどう あやの)/おとうた音楽教室 代表講師
秋田県立の特別支援学校で12年間・延べ300名以上の子どもたちに音楽を教えたのち、2025年に独立。発達支援の視点を取り入れたリトミックを専門とする。特別支援学校教諭免許・音楽療法アドバイザー・福祉心理カウンセラーを保有。
