物を投げる・たたく、それって困った行動でしょうか

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素手で叩く楽器を、あえて使う理由

レッスンでは「ジャンベ」という楽器を使うことがあります。

バチを使わず、素手で叩く太鼓です。

素手で叩くことで、手を通して筋肉の感覚刺激を大量に得られるからです。

この「筋肉の感覚刺激」は、姿勢を保ったり、力の入れ具合を調整したりする感覚とつながっています。

「乱暴に見える行動」の裏にあるもの

感覚刺激の受け取り方が弱いお子さんや、感覚過敏のあるお子さんは、棒で叩いたり、重い物を投げたりすることがあります。

一見、乱暴な行動に見えるかもしれません。

でもこれは、筋肉の感覚が、感覚情報の強化や自己調整に役立っているからだと考えられています。

こういった行動は、「問題行動」として捉えられがちです。

でも私は、まず「何を求めている行動なのか」を考えるようにしています。

楽器のような、安全に力を出せる道具に置き換えられないか。まずそこから考えます。

疲れや機嫌の悪さで、物を投げてしまうとき

疲れがあったり、機嫌が悪かったりすると、身の回りの物を投げ出して泣いてしまうお子さんもいます。

気持ちが盛り上がってしまった状態なら、まず落ち着かせることを最優先にしています。

その子にとっても、周りの子にとっても、安全を守ることが先です。

この段階で「なぜ投げたの」と聞いても、まだ本人も答えられる状態ではないことが多いです。

ピークになる前に、対応する

原因がわかっているなら、ピークになる前に対応することを大切にしています。

ほかの子より早めに休憩をとる。

活動量を、その日の様子に合わせて調整する。

そうすれば、「また投げちゃった」という失敗の経験にも、怒られる経験にもなりません。

起きてから叱るより、起きる前に整える。そのほうが、お子さんにとっても大人にとっても、負担が少ないと感じています。

カードひとつで、伝え方が変わることがある

落ち着いたあとに、「なんで投げちゃったのかな」と考える時間を設けることもあります。

「疲れすぎた」「眠かった」「お腹がすいた」などのカードを見せて、一緒に考えます。

疲れすぎると爆発してしまうお子さんに、イラスト付きの「休憩」カードを渡したことがあります。

その後、カードを持ってきて「休憩」と伝えてくれるようになりました。

言葉は単語だけのお子さんでしたが、カードがあることで、伝えるハードルが下がったのだと思います。

「投げる」という行動が、「休みたい」を伝える手段だったのかもしれません。

だとすれば、カードは同じ気持ちを伝える、別のやり方を用意したことになります。

しっかりサポートに入るときも

気持ちが盛り上がりきってしまった状態では、ほぼつきっきりでサポートすることもあります。

そのこと自体を、悪いことだとは思っていません。

安全を優先した結果であれば、それは適切な対応だったと言えます。

大事なのは、そのあとに、落ち着いて振り返る時間を持てるかどうかです。

疲れのサインは、共有しておく

疲れのサインに、先生や保護者が1人だけで気づくのは難しいこともあります。

一緒に見ている人がいるなら、「今日はこの子、疲れが出やすいかも」と共有しておくと安心です。

気づいた人が伝え合えるだけで、対応できる幅が広がります。

叱る前に、一呼吸

投げる・叩くという行動を見ると、とっさに叱りたくなる気持ちもわかります。

ただ、叱ることで行動そのものがすぐになくなるわけではありません。

むしろ、なぜその行動が起きたのかを考える方が、次に生かせることが多いと感じています。

行動には、いつも理由があります

投げる、叩く、その行動だけを見て「困った子」と判断してしまうのは、もったいないと感じています。

行動の前に何があったか。どんな状態だったか。そこに目を向けると、見え方が変わることがあります。

その子に合った伝え方や、活動の調整を一緒に考えていきませんか。

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