「絶対音感をつけさせたい」その前に。人にとって本当に大切な“音感”の話

「絶対音感は幼児期にしか身につかない」と聞くと、「今のうちにつけさせたほうがいいのかな」と気になりますよね。特殊能力のようで、ちょっと憧れる響きもあります。

でも——それが本当にお子さんのためになるのかは、少し立ち止まって考えてみたいところです。

じつは私自身、絶対音感は持っていません。それでも音楽を仕事にしています。今日は「音感」について、思っていることをお話しします。

目次

絶対音感は確かに幼児期に身につきやすい。でも「必須」ではない

絶対音感(基準の音がなくても「今のはド」と分かる力)は、たしかに幼いころのほうが身につきやすいと言われています。

聴覚が育つ時期と関係していて、おおよそ6〜7歳ごろまでが身につきやすいとされます。だからこそ「今しかない」と焦る気持ちも、よく分かります。

でも絶対音感は、“あれば便利なこともある力”であって、音楽を楽しむのに必須ではありません。

プロの音楽家でも持っていない人はたくさんいますし、絶対音感がなくても音楽大学に進むことだってできます。

じつは「絶対音感だけ」だと、困ることもある

私が読んだ『「音楽する」は脳に効く』(学研)という本に、こんな話がありました。

鳥など多くの動物は絶対音感が中心で、仲間とやりとりする鳴き声も、いつも同じ高さなのだそうです。

人間も、赤ちゃんのころはどちらかというと絶対音感的だと言われます。でも、もし人間が「同じ高さの音」しか同じものとして理解できなかったら、どうでしょう。

たとえば「おかあさん」という言葉。高い声で言っても、低い声で言っても、同じ「おかあさん」だと分かりますよね。

でも絶対音感だけの世界では、音の高さが違うと“別のもの”になってしまい、意味が通じなくなってしまいます。これでは、会話が成り立ちません。

だから人間は、いろいろな音にふれて育つうちに、音と音の“関係”でとらえる「相対音感」が育っていきます。これは、人とコミュニケーションをとるために、とても大切な力なのです。

相対音感は、何歳からでも育てられる

うれしいことに、相対音感は幼児期に限らず、何歳からでも鍛えていける力です。だから「今のうちに」と焦らなくても大丈夫。

たとえば、「歌のお兄さん」として親しまれた横山だいすけさんは、テレビ番組『踊る!さんま御殿!!』で「自分は絶対音感ではなく相対音感だ」と話していました。

国立音楽大学の声楽科を卒業し、あれだけ豊かに歌う方でも相対音感。つまり、音楽を楽しみ、表現するのに、絶対音感は必ずしも必要ないということですね。

大切なのは、音楽で「成長の土台」をつくること

私がリトミックで大切にしているのは、演奏の技術や知識を詰め込むことよりも、音楽を通じてお子さんの成長の土台をつくるお手伝いをすることです。

音を聴く力、感じる力、人と合わせる力——これらは、絶対音感のあるなしに関係なく、これからの人生を支えてくれます。

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まとめ

絶対音感は幼児期に身につきやすい力ですが、「特殊能力」でも「必須」でもありません。

人にとって本当に大切なのは、コミュニケーションの土台にもなる相対音感、そして「音楽を楽しむ気持ち」。

相対音感は何歳からでも育ちます。焦らず、まずは音楽を好きになることから始めましょう。

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